住まいづくりの姿勢-私の建築作法
私だけの住まいづくり
日々普通に暮らす人の住まいがどうあるべきか、楽しくて気持ちいい住まいの為に何を
考えるべきか施主さまの“想い”を基準に、環境や社会的つながりなども考慮した上で
共に考え悩み実現してゆくのが私たちの仕事と考えています。
ご家族のさまざまな想いや習慣、価値観などを大切にした”私だけの住まい”をつくります。
用・強・美の住まいづくり
◆用(機能)を考える
●自然光と風通しに配慮した-「かたち」
●台風や梅雨、高温多湿といった厳しい気候条件に耐える-「ディテール」
●耐久性のある材料の選択とメンテナンスに配慮した-「そなえとしつらえ」
●将来の生活の変化とともにリニューアルしやすい構成-「耐用性と可変性」
●快適な日々の暮らしの為の-「気密性、断熱性、設備グレード」
●コストバランスと性能に配慮した-「素材の選択」
このような6つの要素に留意しながら設計を進めていきます。しかしこのような基本性能
的な部分を満たすと同時に施主さまの”見えない想い”をカタチにした”遊び心やこだわり”
を大切にし、あくまで施主さま本位の住まいづくりでありたいと考えています。
玄関引戸の木栓 施主さまのご要望から発想した、換気と防犯の為の”しかけ”です。 無垢の栗材を大工さんに削り出してもらったものと排水金物パーツを 組合せてつくりました。普段は枠に吊り下げておき、使用時には引込 み側の戸枠近くに穿った扉本体の孔に差し込んで使います。チョット だけ開いて止まる、木のチェーンロックともいえる楽しいしかけです。 | |
オリジナル水栓金具? 「シングルレバーの水栓金具がどうも苦手なんですが...」 昔のよ うにしっかり握れて、自分でメンテナンスができ、ごく普通のデザイン の製品を望まれたHさんのご要望で、イロイロ探しましたが琴線にふれ る製品がナカナカ見つからず...それではと試しに廉価なTOTOの 普及品ハンドルを、同社の十字ハンドルに付け替えると... 昔、どこかであったような素敵な水栓金具ができあがりました。 |
◆強(構造)を考える
住宅は住む人にとってかけがえのない財産であると同時に、安心して日々暮らす為の高性能
な器でありたいと考えています。可能な限り汎用的な構造を選択し、斬新で劇的な空間を
目的としたアクロバティクな構造は避けています。
力学的に明解で、コストバランスがよく、耐久性もあり可変性に富む構造を考えます。
木造キャンティ(片持ち)の2階床構造 ガレージ屋根になり、玄関庇にもなり、2階 有効面積も同時に確保できるなど合理的で機 能的な構成の例。 |
法的規制が厳しく、ガレージ屋根の設計に悩みました。ローコストにしたい、玄関先なので
既製品は避けたい、ガレージ屋根の支柱もスペース的には省きたい... 等々。
試行錯誤の末に、一見特異に感じる木造キャンティ(片持ち)2階床構造を採用することで
コストと要望を満たし、法的規制をクリヤしながら、2階の必要床面積も確保しています。
◆美(デザイン)を考える
私が設計する多くの住宅の屋根は、切り妻又は片流れの”単純なカタチ”で軒先も大きく張り
出した普通の形態です。そうすることで雨漏りのリスクを避け、壁材の傷みや汚れも少なく
なります。単純形態で適正な屋根勾配は施工効率が良く、コスト的にも有利です。またどん
なにカッコイイと思っても掃除のできない窓は作りません。
住まう人自ら掃除ができない窓から見る風景はあまり気持ち良くないと思うからです。
桜台の家(西壁唯一の小窓) バス通りに面する場所なので遮音性も考え、小型のはめ殺し窓のみとしました。 地窓形状とすることで夏、西日が室内に深く入り込みません。 また外部からも 低い位置となるので梯子を掛け外からも無理なく掃除ができます。 室内から西側の小窓を見る 飾り棚の一部に組み込んだ小さな窓で、手前には棚板もあるので、程よく 遮蔽性があります。ブラインド等は取付けず、植物や小物などを置いたり しています。 |
「なぜそうなのか」「どうしてこの様なカタチなのか」私は窓に限らず、客観性をもった
論理的説明のつかない設計はしないように心がけています。ひとつの要素で決めるのでは
無く複眼的な視点で考え、細やかで配慮のある佇まいにしたと考えています。
そうすることで”長く愛着を持って住める飽きのこない家”になると考えているからです。
奇をてらわず、素直で、無理なく、無駄なく、しかしあるべきものがある安心感のある住まい。
様々な要素を考え、配慮を尽くすことで見えてくる ”あからさまでは無い住まいが好きです。”